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家が全焼した。
 
僕は親元を離れ、都内の大学に通うため一人暮らしをしているのだが
基本的に近場の本屋とスーパーを何軒か巡るだけの毎日を過ごしている。
秋口と言っても僕にとっては体に突き刺さるような日差しであるため、
自分の切れた靴紐と、破れた靴底が交互に入れ替わる様をじっと見ているところだった。
けたたましいサイレン、人、聞きなれない音に顔を上げると
そこには僕の住んでいたであろう、アパートのような形をしたものがあった。
 
僕には体の芯から心の高鳴りが聞こえていた。
教科書も、お金も、服も全部無くなった。
今夜はどこで眠ろうか。パンの耳はタダでもらえるものなのか。
これからの生活はどうなるのか。
僕はワクワクした。自分を縛っていた何かが全て解けたような気分だった。
それは拠り所が無い恐怖を紛らわすためか、危機感を現実的に感じたからなのか定かではないが、
この時の僕は確かに幸せだった。
 
先ほど、仮設住宅が用意されている旨と、火災保険がどっさり降りたことが伝えられた。
生活は十分保障されるという。
僕は肩を落とした。全身にみなぎっていた何かが抜けていくような気分だった。
それは果たして安堵の気持ちだけだったろうか。
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